一般貨物実務ノート一般貨物自動車運送事業の許可と実務

許可と運輸開始のあいだ

許可は出た。
でも、まだ走れません。

許可書が届いても、その日から緑ナンバーで運べるわけではありません。 許可には条件が付いていて、その条件を満たしてはじめて運輸を開始できます。 ここで止まったまま何か月も進まない、ということが起こります。

やることは決まっています。順番と期限が分かっていれば、詰まる区間ではありません。

出典:貨物自動車運送事業法 第10条・第16条/同施行規則 第44条/貨物自動車運送事業報告規則 第2条の2・第3条/道路運送車両法 第52条/公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の処理について」1.(11)・15.

まず、答えから ── 期限の一覧

この区間で数字が決まっているものです。

やること期限根拠
運輸を開始する許可後 1年以内公示 1.(11)②(許可に付す条件
運行管理者を選任する許可を受けた後、速やかに法 第16条第1項
運行管理者の選任を届け出る遅滞なく法 第16条第3項
整備管理者の選任を届け出る選任した日から 15日以内道路運送車両法 第52条
選任届(運行管理者・整備管理者)を出す運輸開始前公示 1.(11)③
社会保険等に加入する運輸開始前公示 1.(11)④
運輸開始前の報告をする運輸開始前公示 15.(1)/報告規則 第3条
運賃・料金の設定を届け出る設定後 30日以内報告規則 第2条の2
運輸開始届を出す運輸を開始したとき施行規則 第44条第1号

🔴 「1年以内」は法律ではなく、許可に付される条件です。 そして許可に付した条件への違反は、法第33条第1号の処分事由です(巡回指導と監査のページ)。条件だから軽い、ということはありません。

許可が出てから運輸を開始するまでの並び 許可には、許可後1年以内に運輸を開始する条件が付きます。その間に、運行管理者と整備管理者の選任と届出、社会保険等の加入、運輸開始前の報告、車両の緑ナンバー化を済ませ、運輸を開始したら運輸開始届を出します。 許可 法第3条 運輸開始 緑ナンバーで走る 許可後 1年以内(許可の条件) この間に済ませるもの ① 登録免許税 120,000円を納付 → 許可書の交付 ② 運行管理者を選任(許可後すみやかに)→ 届出は遅滞なく ③ 整備管理者を選任 → 届出は選任の日から15日以内 ④ 運送約款を定める(標準運送約款と同一なら認可を受けたものとみなす) ⑤ 社会保険等に加入 / ⑥ 運輸開始前の報告 / ⑦ 車検証を事業用に書き換え ②③の選任届と⑤の加入は、いずれも「運輸開始前」に済ませる条件が付きます

出典:上の表と同じ。

🔴 選任と、選任の「届出」は別の話です

ここが取り違えやすいところです。2人の管理者で、根拠になる法律も期限の書き方も違います。

運行管理者整備管理者
選任の義務「第3条の許可を受けた後、速やかに」(法第16条第1項)道路運送車両法の側(乗車定員10人以下の事業用自動車は5両から)
誰から選ぶか運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから(法第16条第1項)実務経験2年+研修/自動車整備士/同等の技能
届出の期限遅滞なく(法第16条第3項)選任した日から15日以内(道路運送車両法 第52条)
届出の相手国土交通大臣地方運輸局長
解任したとき同じく届出が必要(法第16条第3項後段)「これを変更したときも同様」(車両法 第52条)

出典:貨物自動車運送事業法 第16条/道路運送車両法 第52条。 運行管理者が何人要るかは、車両数から機械的に決まります →

そのうえで、公示が条件として重ねています。 「運行管理者及び整備管理者の選任届を運輸開始前(整備管理者の選任届については、選任後15日以内に運輸開始する場合にあっては、選任後15日以内)に提出する旨の条件を付すること」(公示 1.(11)③)

⇒ ★ 法律の期限と、許可の条件の期限が重なっています。早いほうに合わせることになります。

運送約款 ── 認可が要るのに、要らなくなる仕組み

条文だけ読むと「認可」ですが、第3項に抜け道が用意されています。

1項

原則は認可

「一般貨物自動車運送事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」

3項

⭕ 標準運送約款なら「みなし」

「国土交通大臣が標準運送約款を定めて公示した場合において、一般貨物自動車運送事業者が、標準運送約款と同一の運送約款を定め、又は現に定めている運送約款を標準運送約款と同一のものに変更したときは、その運送約款については、第1項の規定による認可を受けたものとみなす。」

2項

自分で作るなら基準がある

①荷主の正当な利益を害するおそれがない ②少なくとも運賃・料金の収受と事業者の責任に関する事項が明確 ③運賃と料金を区分して収受する旨が明確(省令で定める特別の事情がある場合を除く)。

約款に書くこと

特別積合せをするかどうか/貨物自動車利用運送を行うかどうか/運賃・料金の収受や払戻し/運送の引受け/積込みと取卸し/受取・引渡し・保管/損害賠償その他責任/その他必要な事項(施行規則 第10条)。

出典:貨物自動車運送事業法 第10条/同施行規則 第9条・第10条。 ⇒ ★ 「標準運送約款を使えば認可は要らない」と言われるのは、この第3項が根拠です。認可が不要になるのではなく、認可を受けたものとみなされるという書き方になっています。

運輸開始前の報告と、運輸開始届

名前が似ていますが、出すタイミングも根拠も別です。

運輸開始前の報告

公示 15.(1):「貨物自動車運送事業報告規則第3条の規定に基づき、運輸開始前に、別途定める様式により報告を求め、許可に付された条件等の遵守状況について確認を行うこと

⇒ ★ 見られるのは「許可に付された条件等の遵守状況」です。選任届は出したか、社会保険には入ったか、車両は揃ったか ── そこの確認です。

報告規則 第3条は「臨時の報告」で、求められたときに報告書を提出する義務を定めた条文です。様式と提出期限は、求める側が明示します(同条第2項)。

運輸開始届

施行規則 第44条第1号:「一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の運輸を開始した場合」は、その許可をした国土交通大臣または地方運輸局長に届け出る。

公示 15.(2) は、この届出にあわせて社会保険等の加入と保険料の納付の徹底を図るとしています。

報告の様式は「別途定める」「別途通達する」とされています。本サイトはその様式を確認していません。管轄の運輸支局が配っているものを使ってください。

車を緑ナンバーにする ── 事業用自動車等連絡書

許可が出ても、車検証は自家用のままです。これを事業用に書き換えないと、緑のナンバーは付きません。

連絡書の様式そのものに、この書類が何であるかが書かれています。

「この書類は、道路運送法、貨物利用運送事業法又は貨物自動車運送事業法による自動車運送事業、第二種利用運送事業の許可、事業計画の認可を受け、若しくは届出をしたもの、又は事業用自動車の代替であると確認したことを証するものである。」

何のためにあるか

「この車を事業用にしてよい」ことを、輸送担当の部署が証明する紙です。これを持って登録の窓口へ行きます。

順番が決まります

許可(または認可・届出)が先、連絡書の発行が次、車検証の書き換えとナンバーの交付が最後。飛ばせません。

増車のときも同じ

あとから車を増やすときも、先に事業用自動車の数の変更を届け出てから連絡書をもらう流れになります。

増車の届出には条件が隠れています →

⚠ 根拠は確認できていません

本サイトはこの書類の根拠条文を特定できていません。様式は各運輸支局が配布しています。上の引用は様式そのものの記載です。

第44条には、ほかにも届出があります

運輸開始届と同じ条文の中に、忘れられやすいものが並んでいます。

届け出る場合届出先
運輸を開始した場合許可をした国土交通大臣または地方運輸局長
譲渡し・譲受け、法人の合併・分割が終了した場合その認可をした国土交通大臣または地方運輸局長
休止していた事業を再開した場合休止の届出を受理した運輸監理部長または運輸支局長
氏名・名称・住所に変更があった場合許可をした国土交通大臣または地方運輸局長
法人の役員または社員に変更があった場合許可をした国土交通大臣または地方運輸局長

出典:貨物自動車運送事業法施行規則 第44条。 🔴 六号の「役員の変更」は、忘れられやすいものです。役員が入れ替わっただけでも届出の対象になります。 欠格事由は役員にもかかります →

このページで確かめていないこと

項目状態
選任・届出・約款・第44条の届出条文で確認しました
「許可後1年以内」「運輸開始前」の条件公示(許可に付す条件)で確認しました
運輸開始前の報告の様式「別途定める」とされています。確認していません
運輸開始届の様式同上
事業用自動車等連絡書の根拠特定できていません。引用は様式そのものの記載です
社会保険等の「加入義務者」の範囲確認していません
法令試験の実施時期と、許可までの期間確認していません
標準運送約款の本文公示されていますが、本サイトは当たっていません

様式と手順は、管轄の運輸支局・地方運輸局が配っているもので確かめてください。個別の申請の可否や進み方は運輸支局の判断によります。

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著者:貨物運送手続き実務ノート ── 当サイトの運営者です。サイトと本は同じ人が書いています。

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